校長贅言72 体育祭「至誠一貫」
昨年度はコロナ禍の影響により、入学式や体育祭、東洋祭や修学旅行など、ほとんどの学校行事が行えず、生徒たちの不満はレッドゾーンです。東京では4月下旬に3回目の緊急実態宣言が発出され、人々の暮らしや様々な業界に大きな影響を与えています。ある小学校では運動会の実施が見送られ、児童が泣いてくやしがった、という記事が新聞紙面に出ていました。本校でも、緊急事態宣言下で体育祭実施の可否を考慮しましたが、学校生活の意義を考え、感染防止を徹底するということで実施する方針を決定。6月4日(金)の予定日は天候が悪かったため順延とし、予備日の8日(火)に実施しました。
当日は好天すぎるほど好天に恵まれ、駒沢オリンピック公園第二球技場は朝から何をしなくても汗ばむ陽気です。熱中症対策として各自2リットルを目安に飲み物を準備するよう呼びかけ、また、各色3つずつ、大型テントを業者から借りて暑さ対策シェルターとしました。体育委員たちは8時に集合して会場の設営、9時からは一般の生徒も集まり始めます。
9時40分から開会式。体育委員会委員長である小泉さんの選手宣誓により体育祭がスタートしました。1年生の「追いかけ玉入れ」は、各色を代表する先生5名が籠を背負い、生徒に玉を入れられないようにフィールドを逃げ回ります。当然、数多く入れられたほうが成績は悪くなります。どの先生も群がり寄ってくる生徒から全力で逃げ回りますが、マークされた先生は集中して狙われます。T先生やO先生(ともに男性)は100を超える玉を入れられてしまいました。逆に、フットワークを生かしたT先生、Y先生 (ともに女性)は1個でした。
2番手は2年生の「棒引き」。フィールド中央の置かれた31本の棒を自陣にいかに多く引き込むか。スピードで勝負するか、パワーで押すか、戦略も大事です。要領のいい生徒は、素早く一人で2本の棒をもっていきました。1本の棒に敵味方、複数の生徒が取り付くと力比べになります。靴が脱げたり、引きずられたりする光景があちらこちらで見られました。
3番目は3年生による「追いかけ綱引き」。女子が綱引きを始めると同時に、スタートした男子がトラックを4分の1周して女子の後について綱引きに合流します。見ていると、男子の到着を待たずに勝ちを決める女子チームも複数、ありました。もちろん、ほとんどの場合は男子が到着して男女が力を合わせて綱を引きます。見ている側も自然と腕に力が入ってしまいます。
この後は昼休み。自席でそれぞれ昼食を摂りますが、その間、フィールドではソングリーダー部が体育祭を応援するために演技を披露。このタイミングで、三燦会のみなさんが生徒や先生方にペットボトル飲料を差し入れてくれました。暑い中、ありがとうございます。
昼食後は、体育祭の目玉の一つである「応援合戦」。今年は、コロナ禍によって十分な準備や練習の時間が取れなかったため、3年生のみで編成されています。団長たちのエールの交換では、他チームや学校全体への応援のほか、ほとんどなにもできなかった昨年度の学校生活への本音も聞かれました。感染防止のためマイクを使って発声する団長のほかは声を出さない、という変則的なルールのもと、どの応援団も内容やパフォーマンス、衣装などを工夫していました。いずれも甲乙つけがたい演技でした。
その後は、1年生の「大縄跳び」。すでに学年内で大縄跳び大会を経験しているので、その時に成績がよかったチームは記録更新を狙って、思うような成績を出せなかったチームはリベンジに燃えて、息を合わせて跳んでいます。
続いては3年生女子による扇の「ダンス」。総勢170名余がフィールド全体に広がり、一糸乱れぬ演技を披露します。3年生女子に代々受け継がれている演技ですが、毎回思うのは、練習は体育の授業に限られていて一度も全体練習がないのにもかかわらずよくここまで息を合わせて動けるなあ、という点です。それから、実は人工芝はかなりの高温になっているはずなのに、はだしでよく演技に集中しているなあ、とも。妙なところで感心してしまいます。
最後は、色別対抗リレー。各色・各学年の男女から選抜されたランナーがチームの威信をかけて走ります。このレースは、順位が次々と入れ替わり、ランナーは誰もがこれ以上はない真剣な表情で全力を出し切って走ります。ふだんなら大きな声援が飛ぶシーンでしょうが、今回は感染防止のため発声は禁じられていて、拍手する生徒、旗をちぎれんばかりに振る生徒、大いに盛り上がっていました。
2年ぶりの体育祭、しかもさまざまな制約のなかでの実施ということもあり競技はそれぞれの予定時間を超えて、終了は1時間ほど遅くなってしまいました。そこで閉会式は短縮して生徒会長・根米君の成績発表と、体育委員長・小泉さんの実感のこもった閉会宣言にて「至誠一貫」をテーマにした体育祭は幕を閉じました。やはり熱中症になってしまったり、脱臼したりしてしまった生徒は出ましたが、深刻な症状に陥る生徒もおらず、久々の行事らしい行事を行えてよかったと思える1日でした。準備や運営に当たってくれた生徒(体育・放送・保健委員ほか)や先生方、後方からご理解やご協力をいただいたご家族の方々、ありがとうございました。
当日のプログラムと競技内容
① 追いかけ玉入れ(1年)……5色の代表教員が籠を背負い、生徒が「玉入れ」の玉を入れます。入れられた玉の数が少ない色が勝ち、というルールです。
② 棒引き(2年)……グラウンド中央に置かれた31本の棒を2チームが自分の陣地に引き込みます。スピードか、パワーか、その選択が勝負どころ。
③ 追いかけ綱引き(3年)……両チームの女子が綱引きを始めた瞬間に男子がスタート、トラックを4分の1周して女子の綱引きに加わる。
《応援合戦》
④ 大縄跳び(1年)……各クラスで2チームを編成、5分間で両チーム最高記録を合わせたものがクラスの記録となる。
⑤ 追いかけ玉入れ(2年)
《女子ダンス・3年》
⑥ 棒引き(3年男子)
⑦ 色別対抗リレー
当日の成績
赤組=3C・3I・2A・2C・2K・1D・1G………1325点
緑組=3D・3H・2D・2F・2G・1B・1I………1285点
黄組=3B・3E・2B・2L・1C・1H……………1360点
青組=3A・2E・2H・2M・1A・1J……………1095点
白組=3F・3G・2I・2J・1E・1F・1K………1127点