校長贅言70 令和2年度卒業式

[校長贅言]

 2020年度3年生は、2年次終わり頃から蔓延してきた新型コロナウイルス感染症のためにオーストラリア・沖縄ともども修学旅行が中止になり、引き続き休校が5月末まで続いた学年でした。授業だけではなくクラブなど課外活動も全面的に中止でした。それ以前に、センター試験が共通テストに変わる、というだけでも大きなプレッシャーであったのに、数学や国語での記述式問題の導入、外部英語検定の扱いなど、本来の学力の診断以外のところで混乱した状況に巻き込まれた生徒たちでした。

 自分の進路の問題やコロナ禍の蔓延で、不安や不満を口に出せばキリがない状況だったと思いますが、3年生たちは、これまでの「あたりまえの日常のありがたさ」を再発見し、関わる人々に改めて感謝の気持ちを抱いて自分の進むべき道にエネルギーを向けたのでした。神様でもないのになぜ私が3年生の気持ちがわかるのか、というと、卒業文集をすべて読んでいるからです。建前ではなく、修学旅行に行けなかったのは残念だけど、クラスやクラブの友達と出会えて同じ時間を過ごせたことが、このうえなくうれしかった……最大公約数的に言うとこれが卒業を目前に控えた3年生の声です。そしてこの声に現れている「素直さ・明るさ」が東洋生の勁(つよ)さでもあると思うのです。

 卒業式が予定されていた3月19日(金)は、延長された緊急事態宣言が未だ解除されない期間でした(解除は21日)。卒業式は実施できるのか、という不安の声は保護者からも教員の中からも漏れてきていましたが、3年間の総決算である卒業式はぜひ実施したいという思いで、感染防止策を徹底し、ギリギリまで簡略化して所要時間を短くして実施しました。

 卒業生たちは胸を張って式に臨み、自らの3年間を振り返るとともに友の旅立ちを祝いました。卒業生代表の古屋さんの言葉は自身の高校生活を網羅(生徒会役員となる、留学する、という目標)するもので、聞いている私は胸の震える思いでした。

 式の後は最後のSHR、どの教室もとびきりの笑顔と思い切りの涙にあふれていました。

「東洋桜」も満開のはなびらで祝福。

学年の先生方。

保護者の見守る中で、卒業生入場。

卒業式会場全景。

生徒会会長・根米君の「送る言葉」。

前会長・古屋さんの「卒業生の言葉」。