校長贅言65 三燦会主催「ビリギャル」講演会参加
本校の保護者会である三燦会も、コロナ禍によって例年と同じような活動ができず、月々の例会もzoomを使ってのリモートミーティングとなっています。しかし、文化部のお母さんたちのご尽力で、年度初めから予定していた講演会を、対面式からzoomに切り替えて12月12日(土)3時から実施してくれました。
講師は、2013年にベストセラーとなった『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40あげて慶應大学に現役合格した話』(角川文庫・坪田信貴著)のモデルの小林さやかさん。「不可能を可能にした大学受験を通しての貴重な経験」という演題で、ふだんは90分で話すんですけど……という内容を60分間で語っていただきました。
小林さんご自身がお世話になった塾の坪田信貴先生には、小林さんの弟と妹もお世話になったといいますが、弟は父親が厳しく指導していた野球のプレッシャーから高校を中退してヤンキーになり、小学校の時に不登校だった妹はニュージーランドの高校に進学と、いわゆる「普通」ではないご家庭の紹介から始まりました。小林さん自身はというと、当然バリバリの「ギャル」で学校でも生活指導を受けますが、その時に呼び出される母親――小林さん流に呼ぶと「ああちゃん」は喜んで学校に赴いたそうです。なぜなら、母親として娘をどれほど思っているか表現できるからだそうで、先生から説教されてもその場で「先生、こんないい子はいないんじゃないですか」というようなことをおっしゃったとか。このエピソードからわかるように母親「ああちゃん」はその行動やら成績などには関係なく、徹底的にわが子に対する信頼を抱いていたようです。高校2年次に小学校4年生程度の学力しかなかった、そしてそもそも大学進学への意志も意欲もなかった小林さんに火をつけたのは、この「ああちゃん」と塾の坪田先生でした。坪田先生も小林さんをいっさい否定することなく、小学校4年レベルからの学習指導をしてくれたと言います。このお二人のおかげで慶応大学に進学した小林さんは、卒業した現在も教育学の研究のため大学院に籍を置き、さらにアメリカ留学も計画中だそうです。
小林さんからは私たちに次のようなメッセージをいただきました。① ワクワクする目標設定をしよう。② 根拠のない自信を持とう。③ 具体的な計画を立てよう。④ 目標や夢を公言しよう。⑤ 憎しみをプラスの力に変えるべし。いずれも、どうしてこのような考え方を持つに至ったのか、興味深いお話がありました。
まだお若く、母親になった経験も、教職に就いたこともないのに、人の成長に関して深い、含蓄に富んだお話を伺えて勇気をいただきました。当日は76画面で、保護者や生徒、先生の視聴がありました(1画面を複数でご覧になっている方々も)。
小林さやかさんのお話に興味のある方は坪田先生の『学年ビリのギャルが1年で……』や小林さん自身が書いた『キラッキラの君になるために ビリギャル真実の物語』(マガジンハウス)をぜひお読みください。講演終了後も帰る時刻を延長して、きさくに三燦会役員の方々とお話しいただいた、その内容もとても興味深いものでした。小林さん、そして準備・運営にあたってくれたお母さん方、ありがとうございました。(12月14日)