ようこそ、そしてお帰りなさい。
ようこそ
東京でも冬らしい寒さを感じるようになった12月、オーストリアとニュージーランドから高校の先生方が本校にいらっしゃいました。
12月5日(木)、本校の姉妹校であるセントルークス・アングリカンスクールから校長先生をはじめ3名の先生方が来校されました。先生方がいらっしゃる一週間前には、Matt先生ほか生徒を含めた25名がセントルークスから来校していたのですが、今回の3名の先生方は「ご挨拶」ということで、生徒引率のない来校となりました。今年度校長に就任されたMatthew先生は今回が初めての来校で、都心に建つビル校舎に驚いていたようでした。授業中の校舎を回っている間には、8階で行われていたスルド先生のコミュニケーション英語の授業もあり、飛び入りでMatthew先生が挨拶されていました。また、1年生の数学の授業での板書を見て「レベルが高い」と感心されていました。短い時間での来訪でしたが、授業内容の違い、平面に広いセントルークス校舎との違いなどを実感されたようでした。
16日(月)には、ニュージーランド・ウェリントン郊外のパラパラウム高校から富田先生が来校されました。富田先生は、本校来訪後も予定があるということで、短時間しかお話しできなかったのですが、留学していた生徒の、1年間の様子などを話してくださいました。富田先生によると、本校から留学した生徒は精神的にとても逞しく成長したようで、周囲に頼ることなく自らが動くことによって様々な問題を解決していたということでした。ホストファミリーの変更などもあったようですが、楽しそうに学校生活を送っていたようです。富田先生はじめパラパラウム高校の先生方のサポートにお礼を申し上げ、また1月から1年間留学でお世話になる生徒に関する情報交換をさせていただきました。
お帰りなさい
また、ニュージーランドに1年間留学をしていた2名、カナダのトロントへ約4か月の留学をしていた2名、さらにカナダのバンクーバーへ1年間留学をしていた2名が、それぞれ12月14日~22日の間に続々と帰国しました。
初めに帰国したのはニュージーランドに1年間留学をしていた2名です。留学をしたときは1年生でしたが、帰国した今は2年生のクラスに合流しています。12月の末には盛夏を迎えるというニュージーランドから戻った二人にとって、東京はとても寒いようですが、それでも元気に帰国報告をしてくれました。二人ともウェリントン郊外で暮らしていたものの、留学先はParaparaumu College、Aotea Collegeと、それぞれ別の高校でした。どちらの高校も、東洋高校からの留学生を以前から受け入れてくださっている、交流のある学校です。
ウェリントン周辺は南極方面からの強い風が入るため、夏は暑いながらもカラッとした天候のようです。夏が比較的過ごしやすいためか、二人がそれぞれホームステイをしていた家も全ての部屋にエアコンがあるというわけではなく、冬はブランケットを幾重にも巻いて過ごしていたということでした。食べ物に関してはフィッシュアンドチップスや肉料理、その付け合わせのベイクドポテトやマッシュポテト、ラップ(トルティーヤなどの柔らかいフラットブレッドで具を巻いた食品)などを日常的に食べていたようで、日本の食事に比べてカロリーの高いものが多かったようです。ただ、それぞれが週のうち3~4日はジムに通ったり、週末の朝はホストファミリーとトレッキングに出かけたりと、日常的に運動はしていたということでした。高校の授業では、ニュージーランドらしいアウトエジュケーションという宿泊を伴うアウトドア体験(山登りや川下りなど)が、「人生で一番つらかった」体験となったようです。また、マオリの詩や神話を扱う英語の授業もマオリ文化の背景を知らないだけに難しかったようです。ただ、多くの授業がディベートやディスカッション方式で行われていたり、歩きながら脳を刺激するスペイン語の授業や自己表現力を高めるドラマの授業があったりと、それぞれが貴重な経験をしたようでした。
1年間の海外生活を経験し、それぞれが「これまでいかに自分勝手だったかということに気づかされた。自宅に戻り、家事の手伝いを率先してするようになった」、「気持ちにゆとりを持つことができるようになり、自分の本当の気持ちと向き合えるようになった」、さらに「自分がいかに自分を取り囲む人たちに恵まれていたかということに気づいた」などの言葉を聞くことができました。ニュージーランドで過ごした1年は、それぞれの心の成長につながったようです。
また、ニュージーランド留学組の翌日、15日(日)にはカナダターム留学組が帰国しました。カナダの12月は日本と同じ冬ですが、二人の留学していた町はトロントのさらに北に位置しているため、東京では体験することのできないマイナス19℃という気温を経験したようでした。カナダターム組もニュージーランド組と同様、日本と比べるとカロリーの高い食事が日常的だったようですが、ベジタリアンのホストファザーがいる家では、ヘルシーな食事が多かったので助かったとのことでした。今回カナダターム留学プログラムが実施されたのはピーターボロという町で、カナダの中でも避暑地のような場所のようです。街中には川や湖が所々にある、自然に囲まれ空気の澄んだ土地だそうで、夜には満天の星を楽しんだそうです。二人の滞在したそれぞれの家庭は週末になると湖畔にある別荘(トレーラーハウス)に行き、水遊びやボート遊び、BBQなどを楽しんでいたようです。授業では、予備知識がなかったために先住民について学ぶ授業が難しかった、また、コンピューターサイエンスの授業で、Python(パイソン)を英語で学習するのが難しかったということでしたが、先生方や友だちがみんな優しく、助けてもらいながら授業を受けることができたようです。
このターム留学を経て、「英語で話すことが怖くなくなった」、「周囲の助けを得るには、自分から相手に伝えなければならないということを痛感した」、「自分から率先して行動できるようになった」と、その成長を語ってくれました。自分の置かれている状況をコントロールするのは自分自身だという経験を経て、それぞれが思い描く将来の選択肢が広がったようでした。
帰国ラッシュの最後、22日(日)にはバンクーバー・1年間留学組が帰国しました。東洋生はすでに冬期休暇に入っているために、それぞれのクラスへの合流は年明けになってしまいますが、初めて顔合わせをする2年生のクラスでそれぞれの留学経験を活かしてくれるのではないかと思っています。友だちや家族に迎えられて成田空港に到着した二人からは「様々な人たちに出会えたのが良かった」といった言葉がありました。また、カナダの生活に慣れ、家族には「もう少しカナダに残っていたい」と、名残惜しさも伝えていたようです。年が明けて登校した際に留学中の報告を聞くことになりますが、二人にとってもきっと、これまでの留学体験者同様、多くの収穫を得られた留学になったことと思います。
それぞれの過ごした異国での貴重な経験が、それぞれの将来を切り開く大きな武器になってくれると信じています。