順天堂大学での医療体験会に参加しました。
12月5日(木)の放課後、29名の生徒が順天堂大学主催の医療体験会に参加しました。当日お邪魔させていただいた順天堂大学のセンチュリータワーは、東洋高校の教室から見える、高校から徒歩で10分もかからない場所にあります。ロビーに到着後2班に分かれ、1年生のグループは、まず東洋高校を間近に見下ろす17階という高層階にある日本医学教育歴史館に案内されました。ここでは近代医学と医学教育の歴史をまとめた動画を見た後、学芸員の方に説明をいただき多くの貴重な資料を目にすることができました。
入口付近で私たちを出迎えてくれたのは、戊辰戦争のときに実際に使われていたという「病院」と書かれた旗。当時は医療施設としての病院などなく、この「病院」の旗の下に負傷者が集まり治療が行われたということでした。ちなみに、この時に日本で初めて「病院」という言葉が使われたそうです。館内にある収蔵物は、どれも貴重なものばかりで、1850年代に順天堂の診察室に掲げられていた治療の料金表や、様々な解剖図、実際に幕末から明治初期に使用された手術道具など、普段は決して目にすることのできないようなものばかりを見ることができました。なかでも貴重だと思えたのは1774年に刊行された『解体新書』の実物。250年前の、近代日本史に名を残す書物を目の前にするという体験はなかなかできません。どのような思いで杉田玄白がこの翻訳書の完成に情熱を注いだのであろうと、当時の世の中に思いを馳せました。
一通り説明をいただいた後にクイズが出され、その答えを見つけるために、それぞれが再度、展示品を見て回りました。答えを記入した用紙を提出し、記念品に『解体新書』の表紙が印刷されたクリアファイルをいただきました。
クイズを終えた後は、場所を移動し、メディカルテクノロジーシミュレーションセンターへ。ここでは1年生グループをさらにグループ分けし、それぞれが手術シミュレーション、VR腹腔鏡シミュレーション、救急蘇生体験、鏡視下鉗子トレーニングなどを体験しました。すべての機械が、医学部の学生が実際の授業で使用しているものです。それぞれのブースにはスタッフの方や医学部の学生の方がつき、生徒たちの体験をサポートしてくださいました。
手術シミュレーションでは手術用の鉗子を操作し、それぞれが緻密な作業を必要とするバーチャルでの手術を体験しました。器用に切除ができる生徒もいれば、患部以外の場所を切ってしまい画面上で出血させてしまうといった生徒もおり、それぞれがアドバイスをいただきながら真剣に取り組んでいました。他にもエコーを使って内臓の位置や働きを学んだり、救急蘇生体験を通して緊急時の人命救助に必要な知識・技能を教えていただいたりと、将来医療系大学に進学するか否かにかかわらず、すぐにでも役立つ体験もありました。さらには腹腔鏡用の鉗子を操作して、目に見えない場所にあるおもちゃのお金を貯金箱にいれるという体験もありました。鉗子操作は難しそうでしたが、医学部の学生の方に持ち方や操作のこつを教えていただきながら、それぞれがゲーム感覚で操作を楽しんでいました。動かしているうちに完璧に鉗子を操れるようになった生徒もおり、医学部の学生の方から「将来外科医になるしかない」と絶賛されていました。
様々な体験をさせていただいたことも貴重でしたが、その体験の折に、医学部の学生の方が親身になって受験や勉強に関する質問などに答えてくださったことも、医学部進学を志す生徒たちにとってはモチベーションアップにつながる貴重な体験だったのではないかと思います。
参加者の感想も、「医学生に直接質問ができてよかったです」といったものや「医療系学部にとても興味があったので、貴重な体験ができてよかったです」、「これまで以上に医療系職への興味が湧きました。参加して良かったと思っています」、「この体験会を通して医学の道に進みたいという思いが強まった。自分も多くの人に貢献できる医師になりたいと思った」といった前向きなものばかりでした。
高大連携の一環として、本校生徒の訪問を快諾していただいた順天堂大学の皆様のおかげで、参加した生徒たちは「やる気」と「希望」とをお土産に持ち帰ることができました。貴重な経験をさせていただいた、実りのある一日でした。