校長贅言86 2022(令和4)年度卒業式
3月17日(金)の午後、文京シビックセンター大ホールにおいて2022年度の卒業式が行われました。外部の施設で行われたのは、この学年の在籍数が450名を超えるため、広い式場が必要だったからです。
どの学校でもそうでしょうが、この学年の生徒はコロナ禍(COVIT-19)蔓延の初期で、全国の学校が4月5月と休校措置をとらざるをえなかった年の入学生です。
2020年の4月初め、1学年の先生たちの最初の仕事は、iPadの新入生への発送でした。入学前の登校日もなかったため配布も叶わず、連絡の取りようもなかったのです。当時の学校日誌は日付のみ記入され、ほかはまったくの白紙状態、先生方も在宅勤務で、私(石井)は無人の薄暗い校舎に出勤しては「学校というのは生徒や先生がいてこそ、初めて学校であり得るんだなあ」という当たり前の想いを毎回抱いていたものでした。
iPadが各生徒に届き、生徒先生共に慣れないながら連絡ができ、ZoomによるHRや授業が始められるようになりました。そして6月1日、ようやく分散・時差登校が始まり、1年生は各教室で放送による「入学式」が行われたのでした。その後も、ラッシュ時を避けての時差登校、短縮授業、部活動の制限、行事の中止など、数々の制限・制約が続きます。校内だけでなく世の中全体が混乱し閉塞感に満ちている状態で、不満や不安をどこにぶつけていいかわからない日が続きました。誰もがつらかったのは、こういう状態がいつ終わるのか、先が見えないことだったと思います。
それでも生徒諸君は腐ることなく、日々の学習に取り組み、中止になった東洋祭の代わりの「東洋フィルムコンテスト」や、同じく中止になった合唱コンクールの代わりの「ボディパーカッション&ダンスコンクール」に仲間と協力して全力で自分たちの想いを込めてきました。日々、生徒たちに教えられることが多いですね、と市川教頭先生と話し合うことが多いのですが、この3年間をふりかえっても、コロナ禍に対する彼女ら・彼らの姿勢や態度には、大人も見習うべきだと思わせられる場面がいくつもありました。
さて、卒業式当日。天気が心配でしたが、結果的に天気予報はいい方向にはずれ、雨に降られずにすみました。午前中は、「入学式もなかったから」という学年の先生方の配慮から家族による記念撮影タイム。体育館内で希望する生徒と家族が写真を撮っていました(文京シビックセンター内外では撮影ができないため)。12時から各教室で最後のHR。そのスタイルは、各クラスのキャラクターが様々であるのを反映して、バラエティに富んでいました。もうこのHRの時点で、堪えられない先生は涙腺が決壊していました。
まだまだ整理のつかない気持ちを胸にしたまま、文京シビックセンターに移動し、午後2時から卒業式は始まりました。全員の呼名と卒業証書の授与、そして東京都知事賞をはじめとする外部団体からの表彰、成績優秀者表彰や皆勤賞・精勤賞、生徒会功労賞などの各種表彰が続きました。
前生徒会長の田中くんの「卒業生の言葉」では、コロナ禍の高校生活であっても、仲間との活動で豊かなものになったという回想が語られました。正面で聴いていた私には、自宅ドアのカギを回す方向を間違えるエピソード(※注)が印象的でした。
最後はクラスごとにステージに上がり、ご家族や先生たちへの感謝の想いを口にして、胸を張って退場していきました。
コロナ禍に翻弄されてしまった3年間でしたが、その状況にへこたれることなく、マイナスをプラスに変えてくれた、力強い生徒たちでした。ご卒業、本当におめでとうございます。(2023年3月18日)
写真提供:写真部
※注……田中くんにとって、生徒会執行部の仲間たちはかけがえのない存在であり、その活動のメインになったのは生徒会室だった。生徒会室のカギと自宅のドアのカギは回す方向が反対。半年以上前に生徒会長は交替したのに、未だに自宅ドアのカギの回す方向を間違えてしまう。生徒会活動の記憶も薄れかけているように思っていたけど、身体があの時期のことをしっかり覚えていたんだ、ということに気づいたエピソード。
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「東洋桜」も満開で卒業生を送ります。
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午前中は体育館で記念撮影。
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最後のLHR。
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互いの想いを伝え合います。
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廊下で涙する先生、見守る生徒。
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式の前だけど、号泣。
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もう何も言えません。
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開式の様子。
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一人ひとりが今日の主人公。
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卒業生を送る言葉。生徒会長の伊端くん。
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それぞれの胸に浮かぶ想いは?
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卒業の想いを語る前生徒会長の田中くん。